亜硫酸(二酸化硫黄)

「無添加ワイン」の功罪

【掲載】書籍『ワインの自由』(堀賢一氏 集英社)
『ソムリエ4巻』(原作:城アラキ氏、漫画:甲斐谷忍氏、監修:堀賢一氏)

酸化防止剤についてのコラム登場

Vintage26「不自然なワイン」の記事に書いたように、全ての生産者に対して不信感を持っているわけではなく、このコラムに書いているように、

「人体にやさしいからつくる」のではなく、「(<亜硫酸無添加>と表示すれば売れるからつくる」というのが現状で、日本のワインメーカーは相変わらず本末転倒気味です。 『ワインの自由』堀賢一より引用

「亜硫酸無添加」と名乗ることによってあたかも亜硫酸が絶対悪のように消費者に認知され、消費期限などの亜硫酸無添加によるリスクが語られていないのは嘆かわしいことです。 『ワインの自由』堀賢一より引用

とあり、このコラムで紹介しているワインは、無農薬でぶどう栽培をし、野生酵母で発酵を行い、SO2を添加しないフランスの無農薬ワインの先駆者的存在であるシャトー・ド・ボーカステルのシャトーヌッフ・デュ・パプ1987(当時4,800円)であり、その説明文を読む限り偉大な生産者だと感じられる紹介の仕方です。

ちなみに、酸化防止剤について、ワインの裏ラベルなどには酸化防止剤(亜硫酸塩)使用などと書かれていますが、ワインのことを勉強しているとSO2(硫化水素)などと表現したりしますね。SO2は水(H2O)との反応で、亜硫酸(H2SO3)がとなります。これが酸化防止剤の役割をします。また、私の認識ではSO2は、酸化防止剤としての働きより、殺菌効果のために使用されていると思います。ビオディナミの先駆者ニコラ・ジョリーも「必要最低限のSO2しか使わない」と言っており、それは逆に言うと「SO2には必要最低限の量がある」ということになります!(圧搾時、醸造時、瓶詰時の器具や樽の殺菌だと思います)

前回の記事でも書きましたが、酸化防止剤についてはこのサイトが堀氏の主張に似ています。

https://shizenha-wine.com/what-shizenha/antioxidant/

SO2は今回のコラムが収録されていた『ソムリエ4巻』 Vintage26「不自然なワイン」で、城が次のように言っています。

”亜硫酸というのは亜硫酸無添加ワインでも酵母の新陳代謝によって微量に生成されるものなんです
『ソムリエ4巻』原作:城アラキ 漫画:甲斐谷忍 監修:堀賢一より引用

時々、酸化防止剤無添加のワインは、亜硫酸が入っていないので二日酔いにならないとか頭痛にならないとか書いているサイトがありますが、本当でしょうか??いえ、確かにアレルギー体質の人はいらっしゃいます。そんな方は、ワインの10倍以上の酸化防止剤を使っているドライフルーツを食べると、大変なことになるはずです。

 この回のコラムの堀氏紹介ワインは、シャトー・ド・ボーカステルのシャトー・ヌッフ・デュ・パプです。シャトー・ヌッフ・デュ・パプは、シャトー・ヌフ・デュ・パプ(シャトー・ヌフ・デュ・パープもあります)と表記されることのほうが多いと思います。
農薬を使うことが最新技術のように思われていた時代から無農薬で自然の畑やぶどうを大事にした造り手で、まさに2000年代になって最新となった自然にのっとったワイン造りを行い続けた生産者です。ビオディナミも実践していますが、ビオをやっているとアピールせず、良いワインを造りたいからやっているだけで、売りたいからやっているわけではないから、わざわざ公表しないというスタンスは、まさに今回紹介した堀氏の言葉に重なります。
1997年当時の堀氏のワイン紹介では、4,800円と書かれていますが、2014年現在、その価格は約1万円といったところです。

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