前回の「ロゼをブランドでテイスティング」にて、ワインの色、外観という情報を得られなければ、中のワインが白なのか、ロゼなのか、赤なのかを当てるのは、想像以上に難しいですということを書きました。
では、ロゼと分かっていると、どうでしょう?
ロゼに対する先入観
前回の記事で参照した『ソムリエ5巻』巻 Vintage32「正しい相性」で、近藤デスクはロゼ、白、赤を目隠しで飲んで間違えていましたが、その回のコラム「ワインの自由」では、その件について触れられています。
例えば、ボルドー大学のワイン醸造研究所では、学生(受講生)に、暗闇での試飲をさせたところ、赤と白を間違える生徒が続出し、ロゼをロゼと答えられる生徒はほとんどいないと書かれています。
また、カリフォルニア大学ディヴィス校が行った調査では、同じ白ワインのうち一方を赤い色素でロゼにして、ワイン専門家たちに試飲させ、どちらが甘いか質問すると、ほとんどの専門家がロゼ(ロゼ色になった白ワイン)を選んだそうです。
つまり、ワインの専門家たちでさえ、ロゼは甘いという先入観によって味覚が左右されるということです。
では、このロゼは甘いというのは本当なのでしょうか。
世界のワイン産地では、圧倒的に辛口のロゼのほうが多いと思います。では、なぜロゼは甘いという印象があるのか。
これは私の想像ですが、世界で有名なロゼワインが甘口だったためではないでしょうか。
世界中で有名なロゼといえば、マテウス・ロゼというワイン。最近は日本で見ることは減りましたが、20年前くらいは、酒屋さんでよく見かけたワインではないでしょうか。
そして、フランスのロワール地方のロゼワイン、ロゼダンジュ。日本のフランス料理店でも、このロゼワインはオンリストしてあるお店も多いことと思います。
これら2つに比べると少ないかもしれませんが、アメリカのホワイトジンファンデル。
上記3つのワイン
ロゼワインは甘いのか
これら3つは、ほのかな甘口です。世界で有名なロゼが甘口だったため、ロゼと言えば甘口という認識が多くの人にあるのではないかと思います。
そして、その認識がロゼ色がついた白ワインのほうが甘いと答えさせてしまう。
つまりロゼワインは一般的に甘いわけではなく、有名なロゼが甘いため、ロゼワインは甘いという先入観があり、実際に人間はその先入観のおかげで、甘いと感じてしまうということです。
それくらい人間の味覚はあいまいなものだということですね。
私が、ソムリエとして働くのも、お客様により美味しく食事をしていただくためです。料理もワインも、そのものの味も大事ですが、誰と飲むのか、どんな雰囲気で飲むのかも、とても大事ですよね。ソムリエとして、美味しい雰囲気をお届けしたいと思っていますm(__)m
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