日本編スタート
4巻の最初に収録されている話で、日本編のスタート。なお、1巻~3巻には、コラム「ワインの自由」が収録されていないこともあり、4巻から読み返して、投稿を始めています。
アトランティックホテルグループの統括ソムリエとしてスカウトされた佐竹城を「29歳の若僧じゃないですか」と木崎本部長に言うレストラン支配人の大久保(45歳)。この連載当時(1997年)、この大久保さんはよいとして、斎藤シェフも若い!!38歳です。現代(2014年)は、そんなこともありますが、当時にこの年齢で全国15か所あるホテルの本社のメインダイニングのシェフが38歳というのは、かなり若いです!!
試作中のワインリストを提示される城
(『ソムリエ4巻』原作:城アラキ 漫画:甲斐谷忍 監修:堀賢一より引用)
ホテルの準備していたグラスワインリスト、フランスワインをすべてフランス語で表記しています。現在でも、高級フレンチレストランで、ワインは全て言語で書かれているところもあります。私としては、それは「お客様のためのワインリスト」ではないのではないかと思っています。
さて、そのグラスワインはというと・・・当時学生だった私は、グラスワインが2000円以上するのか~。すごいなぁ。なんて思っていました。でも、このグラスワイン、今のワイン価格では、この値段で出せない逸品ばかりです!
ホテルが準備していたリスト
- Poiully-Fume SILEX 1993【Didier Dagueneu】 2,500円
(プイィ・フュメ・シレックス 造り手:ディディエ・ダグノー) - Chablis Grand Cru Clos des Hospices 1993【Moreau】 2,500円
(シャブリ・グラン・クリュ・クロ・デ・オスピス 造り手:モロー) - Nuits St.Georges Clos de la Marechale 1990【Faiveley】 2,200円
(ニュイ・サンジョルジュ・クロ・ド・ラ・マレシャル 造り手:フェブレ) - Carruades de Lafite Rothschild 1989 Pauillac 2,500円
(カリュアド・ラフィット・ロートシルト ポイヤック村)
これに対して、城が提案したグラスワインリストは、全て日本語(カタカナ)で、ワインは全てニューワールドでした!
(『ソムリエ4巻』原作:城アラキ 漫画:甲斐谷忍 監修:堀賢一より引用)
城は、半額以下の値段で同等クラスのものをお客様に提供できますと言っています。(誌上では、ケープ・マンテルですが、日本ではケープ・メンテルと表記されることがほとんど)
佐竹城は、私がソムリエを目指すきっかけとなった人物(?)で、今でもファンなのですが、「同等クラス」とは全く思えないですねぇ・・・。木崎本部長、大久保支配人、斎藤シェフも「劇的な違いはない」などと言っていますが、うーん、正直、ワインの格としては、かなりの差があると思うのですが・・・。
これらのワインをネット探してみます(ヴィンテージは異なります)
1のワイン
3のワイン
城の提案したリスト
- クラウディー・ベイ ソーヴィニョン・ブラン1995(ニュージーランド) 950円
- ベリンジャー・シャルドネ1994(カリフォルニア、ナパ・ヴァレー)850円
- スターリングワイナリー レイク ピノ・ノワール(カリフォルニア、カーネロス)ヴィンテージ、金額不明
- ケープ・マンテル・カベルネ・ソーヴィニョン1992(オーストラリア、マーガレット・リヴァー)1,000円
これらのワインをネット探してみます(ヴィンテージは異なります)
1のワイン
2のワイン
最終的なグラスワインはこうなった
結局、グラス売りとして翌日も売りやすい味と香りの個性の強いニューワールドのワインが採用されたような場面で終わります。城の
「イメージも大切だが、お客様にとっては、財布の中身の方が、もっと大切だ」
『ソムリエ4巻』原作:城アラキ 漫画:甲斐谷忍 監修:堀賢一より引用
には大賛成ですが、私なら本社ホテルのメインダイニングのグラスワインをニューワールド一辺倒にはしないし、種類と価格のバリエーションも増やすことと思います。ただ、1997年、グラスワインは赤か白を告げるだけのレストランが多い時代、東京の都心の大きなホテルでこの試みは、新しいと思います!
この回のコラム「ワインの自由」は、「ニューワールドVSオールドワールド」です。